中国安徽省青陽県に私たちが設計し、工事が進められていたプロジェクト「九華山下 山鳴台/States of Mind Conference Center」の竣工写真を掲載します。(外構は一部未施工の部分があります。)

建築主による施設紹介(動画)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(Photo by E-ar X TARS)

 

安徽省青陽県の二千年以上の歴史をもつ古村落に建つ、会議・研修施設である。村には築百~五百年ほどの伝統的な民家が建ち並んでいるが、近代化の流れの中で、この古村落も人の気配がまばらになっていた。

この古村落は三方がなだらかな山で覆われており、北西方向は、仏教の聖地九華山に向かって開かれている。村の東端には泉があり、その泉を起点とする小川が村の外周部を流れている。数千年に及ぶ人々の静かな生活の中で、さまざまな知恵が積み重ねられ、固有の文化としての村落と建物群が形成されてきた。低い建築ボリュームと路地、内部と外部の中間領域など、自然と寄り添って生きる東洋的思想を反映した空間がそこにはある。

村から望む九華山には、約1400年の樹齢の「鳳凰松」といわれる木がある。鳳凰は中国神話の伝説の鳥、霊鳥である。鳳凰は、霊泉の水だけを飲むといわれている。この集会施設を設計するにあたって、この古村落の東端に位置する泉を「霊泉」、建物を九華山から霊泉を飲むために舞い降り、再び羽ばたこうとする「霊鳥=鳳凰」と見立てた。

カンファレンスセンターは、古村落の入り口付近にあり、一番よく、その特徴的な、九華山を含む自然景観と、人々の営みが織りなす田園風景を望める位置にある。背景にある低層の民家の雰囲気を壊さないように、建物は極力低く配置することが求められた。そして、建物全体に、地形に沿って床が少しずつ下がっていくスキップフロアを採用し、その床同士をスロープでつなぐことで、建物の内部まで村の路地空間を取り込もうとした。

人々はまず、古村落の建物群との間にある路地から、この場所に残っていた民家を再現した棟からなるエントランスホールへと導かれる。そしてスロープを下りながら、建物中央の三角形のホールへといざなわれる。ここは頂部にトップライトをもち、壁を本で覆われた内向的な空間であるが、同時に、泉の水を呼び込んだ段状の池からなる水景を垣間見ることができる。そしてこのホールから、人々は左右に分かれ、それぞれラウンジを通って、大小二つの会議室へと至る。

二つの会議室は、それぞれ異なる採光方式と天井の形状をもった個性的空間だが、ともに日中は自然光に満たされ、周囲の自然や水盤と連続した空間の中で、人々は会議をおこなったり研修を受けたりすることができる。施設は全体として回遊性の高い計画となっており、人々は、建物内外を自由に行き来しながら、この古村落の豊かな自然的、文化的環境を満喫することができる。

このランドスケープと建築が一体となった環境が、安徽省陵陽に残された二千年以上の歴史をもつ古村落の、地球上でここにしかないような魅力を利用者に伝えながら、実り豊かな対話の場となることを期待している。