2019年4月3日午後、ホーチミン市内にある、Binh Houseを訪れました。VTN(Vo Trong Nghia: ヴォ・チョン・ギア)による設計です。

ホーチミンの郊外に広がる住宅地の一画にあり、周辺にはまだ空地も目立ちます。

3世代同居の住まいであり、世代間の違いを受け入れながらふれあい、コミュニケーションがとれる空間を生み出すという課題があったといいます。

住宅からは緑がはみ出しており、内外のいたるレベルに樹木を植えた庭があることがわかります。

「ビン・ハウス」は、原始的な住宅デザインを追求し、人口密度の高い都市に緑の空間を提供することを目的とした「ハウス・フォー・ツリーズ(木々のための家)」シリーズの一つとして建てられたそうです。この地域はまだ、住宅が建て込んではいませんが、将来、高密度な住宅地になることを見越して、豊かな緑を内包した住宅を計画したということでしょうか。

プールの手前、右手に見えるのが玄関の扉

ここから右に曲がると

インドアガーデンとしての玄関が現れる

樹木を挟んで、左手がダイニング、右手がリビング

エントランスに隣接した、1階リビング

ダイニングルームを挟んで、手前に内なる庭、奥には外部としての中庭。平面的、断面的に庭が重層化している。

1階平面図

 

1階 ダイニングルーム

全体に天井高が日本の住宅に比べ高く、少々間延びしているようにも感じたが、案内してくれた設計事務所の方の話によると、ホーチミンは一年を通して暑い気候なので、壁や天井からの輻射熱を避けるために十分な気積をとる必要があり、そのために天井高をこの程度に高く設定しているとのことだった。

地上レベルの中庭
2階北東側寝室

1階のインドアガーデンと中庭、2階の中庭が、吹き抜け越しに同時に見える。

2階平面図
2階南西側寝室
同上

階段ホール 2階から3階へ
3階の書斎
3階平面図
3階レベルにある、屋上庭園に面したジャグジー

 屋上庭園(4階レベル)

屋階平面図

 最上階の屋上庭園より見下す

階段ホール
3階トイレは2階とつながっている
1階 リビングに戻る
断面パース(コンセプト図)

階段ホールのみはトップライトから自然光が降り注ぐ抽象性の高い空間でしたが、それ以外のすべての居住スペースは、複数の庭が見渡せる開放性の高い場となっていました。

四季のある日本では、これと同じ住宅はたぶん難しいのではないかと思いつつ、立体的に配置された庭から光や風が入ってくる、実験的ともいえる構成は、学べる点も多くあると思いました。

オーナー様、VTNの関係者の皆様、見学させていただきありがとうございました。