12月10日 山形市内で工事中の、RC(鉄筋コンクリート)造3階建ての事務所併用住宅(TOP→実績→設立後で紹介しています)の、1階(1階壁、2階床スラブ)コンクリート打設が行われました。監理者として立ち会いました。

午前8時より打設開始。

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鉄筋コンクリートの建物は、まず鉄筋を組み、その周りに型枠を立て、その型枠の中にフレッシュコンクリート(生コン)を流し込み、固まったあとに脱型することでつくられます。

いわば、前回紹介した鋳物と同じ原理です。

型枠の中に、すき間なくコンクリートが流し込まれることが重要です。

すき間なく入っていくには、流動性の高い生コンの方がいいのですが、あまり柔らかくしすぎると、脱型後のコンクリートの品質に影響するので、固めの生コンを使いたい。

しかし、そうなると型枠に入りにくくなるので、生コンを流し込んだばかりのところを、上から壁の中に竹の棒を差し込んでついたり、スラブ下で壁型枠を数名でハンマーでコツコツ叩いたり、適度にバイブレータをかけたりします。

コンクリート打設はチームワークが大切。いくら技術が進んでも、機械が自動的にやってくれる訳ではない。まさに人海戦術です。

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コンクリートミキサー車からポンプ車へとコンクリートが流し込まれる
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打設の順番を事前によく検討しておく
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スラブ上の様子、まず壁から順番に打設
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スラブ下 ハンマーでたたき、型枠の中で生コン(フレッシュコンクリート)が隅々までいきわたるようにする。
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コンクリートポンプ車から圧送されたコンクリートが送り込まれる
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下で型枠を叩く職人さんたち

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上下で総勢20人ほどで注意深くコンクリートを打設していく。皆が気持ちをひとつにして進めていく。
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竹の棒(通称ツコツコ棒)でつきながら、すき間なくコンクリートを型枠に送り込んでいく
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ホースのようなものはバイブレータ。生コンに振動を与えて、型枠との間に空洞が生じないように打っていく。ただし、バイブレータをかけすぎると、コンクリートが分離してしまうので適度に。(コンクリートはセメント、水、砂、砂利を定められた比率で混ぜ合わせたもの)
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電気などの配管スリーブ
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コンクリートミキサー車はプラントから一台ずつ交代でやってくる
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通り側から見た現場 次のポンプ車が来るのを待っている
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雪がちらついてきた
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階段室回りの壁にコンクリートを流し込んでいく

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型枠の内側に傷を付けないように一旦用意しておいた把手つきのベニヤ板で受けてやる。(せき板に傷がつくと脱型後のコンクリート表面にも傷が残る)
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ミキサー車からポンプ車へと送り込まれるコンクリート
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壁が全て打ち終わり、2階床スラブ打設へ

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床スラブにコンクリートが打たれたあとはレーキでならしていく
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左端の人が、ポンプ車の動きをリモコンでコントロールしている
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バイブレータの電源は中央の階段室に据えられている
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床スラブの中に埋め込まれるスリープ配管が見える
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生コンがポンプ車のホースから吐き出される瞬間

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レーキで粗く押えたあとに、さらに金コテで押えてスラブ上面を平滑にしていく
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いよいよ終盤へ
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スラブ打設の最終地点 本日の作業はここまで
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スラブ上は全体にきれいに押えられている
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作業が終わったポンプ車はブームを畳んでいく
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冬場の打設では練炭を打設後にスラブ下の各エリアに配置して採暖する(コンクリートの養生のため)
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採暖のためブルーシートで覆われた1階の室内に練炭を運ぶ。一酸化炭素中毒に注意。

16時。六日町の町屋、無事、1階コンクリート打設完了です。

 

昨今、鉄筋工、型枠大工を含め、鉄筋コンクリートの建物の工事を担う職人さんたちの高齢化や人手不足が問題になっています。こういった、人間にしかできない仕事を次の世代に継承していくのは非常に重要だと思うのですが、なかなか若い人は入ってこないというのが現状のようです。

上の写真を見ても、非常に臨場感があって、やりがいのある魅力的な仕事と思うのですが、若者が肉体的にきつい仕事を避ける傾向が強まっており、このまま建設業に携わる人が減っていけば、今回のようなRCの建物は日本ではつくれなくなってしまうのではないかという危惧を、私を含め多くの建設関係者がもっています。

会うといつも話題になる、切迫した深刻な問題です。

日本の国も、もう少し建設業従事者を含め、現場で汗をかいて働く人たちが誇りをもって働けるような政策をとらないと、大量の外国人労働者や移民を受け入れ、彼らに頼るしかなくなってしまうのではないかと懸念されます。

また、このような技術は書物などだけでは伝えきれず、人から人へと継承されていくもので、一度途絶えると復活するのはなかなか難しいといわれます。

そうなる前に、何とかこの素晴らしい日本の鉄筋コンクリートの建築技術を後世に伝えていくにはどうしたらいいか、真剣に考える必要があると思っています。

 

この日、コンクリート打設に参加してくださった大友建設と協力会社の皆さん、時折雪も舞う中の長時間の共同作業、本当にお疲れ様でした。一人一人の思いが結実し、きっと建物に生命を宿していくだろうと思っています。ありがとうございました。

上棟までコンクリート打設あと2回、雪の日も多くなって大変ですが、最後までよろしくお願いします。

 

六日町の町屋、来春竣工予定です。