十和田市の官庁街に面する十和田市教育プラザ。師である安藤忠雄先生の設計です。この日10月24日に、教育プラザのグランドオープンの式典があったようです。

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並木道に沿って配置されており、通りと開架スペースはお互いに視線が行きかうようになっている。端正で、すがすがしい建築。

現代美術館と同じ通りに面しているが、こちらはより重厚な雰囲気で、意思をもった人を受け入れるというたたずまい。

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車いす用駐車場(左)とエントランスホールへのアプローチ(右) 車いす用駐車場からは雨にぬれずに行けるような配慮がある。三角屋根の頂部ディテールが少し気になる。
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アプローチを反対側から見たところ。全体に竪樋(外壁についている屋根の雨を落とすパイプ状の樋)がいつもより少し多いような気がしました。(何か理由があるのかもしれません)
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エントランスホール内部には、アプローチと同じ形の植栽帯がある。冬寒い時でも人々があつまることができる。左手が、いわゆる図書館機能。右手が集会室。

このエントランスホールには、手前側、奥側の両方からアプローチできるようになっています。

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二つの細長い、開架スペースをつなぐ、台形断面の吹き抜けホール。右手奥に貸出カウンター、中央奥に図書館入り口が見える。
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本棚の中央に中庭の桜の見えるピクチャーウィンドウ。窓の下は安藤コーナーになっている。
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読み聞かせのコーナー。紙芝居にこどもたちが見入っていました。
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入口より奥側にある方の一般開架スペース。(全体は細長い平屋のボリュームが2列に連なっている構成。その通り側)大通りに面して閲覧席がある。敷地の長さをうまく使って「奥行き」という迫力のある空間をつくっている。

「本のプロムナード」というイメージか。室内照明は、直感型の電球色の照明を切れ目なく連続させている。冬寒い季節のことを考え、暖かい色の光にしたのだろうか。

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樹形からして既存の樹木をそのまま残したのだろう。既存樹に敬意を払って、それらを避けるようにして配置計画がなされている。

すでに館としては運営されてしばらくたっていたようですが、多くの市民に親しまれていました。

通りから若干離れた位置にある入り口は、最初は少しわかりにくいような感じがしましたが、一度訪れればすぐに慣れるでしょう。店(例えば本屋)ならば通りから出入りできる必要があるのでしょうが、何度も通う図書館のような施設では一度奥に引き込むのでも問題ないでしょう。

むしろそのことで、十和田市の誇る並木道に面して、本の読める静かで大きなリビングがつくれて、より豊かな公的空間を生み出すことに成功しているような気がします。

 

その後午後2時半から、十和田市民文化センターで、安藤忠雄先生の講演会を聴きました。実は今回十和田市に訪れたのはその講演会があったからです。

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「地方都市の生き残りをかけて」と題して、1時間15分ほどの講演会。

最近の時事ネタ(新国立競技場の問題も含め)やご自身の健康状態の話も交えながら、建築、美術、まちづくりの話を幅広く語られました。今回オープンした教育プラザにも触れられ、若いころから本に親しみ、知的好奇心をもって生きること、そして公的精神をもって社会とかかわりながら生きることの重要性を語られていたと思います。知的体力を養って100歳まで生きよう、と。

私は、安藤事務所をやめてから初めて安藤先生の講演会を聴きました。今まで何度もお聴きした内容もありましたが、先生の話はウィットに富んでいるだけでなく、大阪人らしく「落ち」もついており、笑いの絶えない講演で楽しく聴かせていただきました。もはや、古典落語のような話芸の域に達しているような気がしました。

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講演会前後で少しお話しさせていただきましたが、お元気そうで何よりでした。逆にこちらのことをお気遣いいただき恐縮しました。

安藤忠雄HP

会場で、芸術新潮最新号で特集が組まれているとのご案内が。さっそく書店で買って読みました。
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芸術新潮HP

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