昨日(11月11日)、上山(かみのやま)の「日本の宿 古窯」の女将、佐藤洋詩恵さんから「gatta! 2015年12月号」をいただきました。
山形県内の、金融機関、公共施設、コンビニ、道の駅などで配られているフリーマガジンです。
今回の特集は、私がHPの「ごあいさつ」でも触れている、「イザベラ・バード」です。19世紀後半から20世紀初頭に活躍した、イギリスの女性旅行作家です。
佐藤さんは、この雑誌の中でインタビューに答えられています。今から32~3年前、お客様に、『日本奥地紀行』(Unbeaten Tracks in Japan)の英文コピーをいただいて、イザベラ・バードを知り、それ以来、彼女に魅了されているとのこと。しばらく前までは、「イザベラ・バード」と知りあった人に話すと「何の鳥?」などと聞かれることが多かったが、最近は少し通じるようになってきて、やっと今までことあるごとに、彼女を話題に取り上げてきた自分の苦労が報われて嬉しいと、まさに「バードの虜」といった感じで、私に熱心に話してくださいました。
他県(山口)から嫁がれて、客室乗務員から女将になられた佐藤さんは、イザベラ・バードを心の支えにもされてきたとのこと。そして『日本奥地紀行』の中の『上山の美女』のスケッチをいつもそばに置いて励みにしてらっしゃるとのこと。詳しくは、下のリンクの13ページをご覧ください。
イザベラ・バードについて、とてもよくまとまった特集だと思いますので、山形県人もそうでない方も(笑)、ぜひお目通しください。
私も、佐藤さんにはかないませんが、十数年前からイザベラ・バードには関心を持ってきました。明治期に多くの外国人が、日本に訪れて、紀行文や日記などを残しています。ある時期、そういった類の本を集めていたのですが、特にイザベラ・バードは、私の故郷である山形について多くの記述を残しているので、まず興味をひかれました。彼女は十九世紀の女性としては類まれな大旅行家であり、その博識と観察眼、そして描写力には感心させられます。
『日本奥地紀行』は、当初上下二巻として刊行された『日本紀行』の後半部分(伊勢神宮、神戸や京都などの記述が多い)を省いた全一巻の普及版の訳本であり、後年、完訳版が出版されました。また、民俗学者・宮本常一による解題(昭和五十一年に行われた講読会の記録)も出版されていて、イギリス国教会の聖職者の家系に育ったバードによる人々の生活や風景の活写を、宮本さんが自らの膨大なフィールドワークの経験に照らし合わせて、独自の視点から読み解くという、たいへん面白い内容になっています。
そして、『朝鮮紀行』は同じイザベラ・バードによる、1894年頃に朝鮮半島を旅した時の紀行文であり、当時の同一の西洋人の目から、それぞれの国がどう見えていたかということを知ることができる数少ない文献です。私も安藤事務所で10年ほど韓国のプロジェクトを担当していましたが、隣国との関係を考えるうえでもたいへん参考になる本ではないでしょうか。
それにしても、偉大な女性ですね!イザベラ・バードは。
佐藤洋詩恵さん、「gatta 2015年12月号」 ありがとうございました。
[…] あのイザベラ・バードも、この「済生館」を見ていたんですね!イザベラ・バードについては11月12日の日記「Isabella Lucy Birdについて」で詳しく触れていますので、よろしければご覧ください。 […]