1月20の夜に中国江蘇省崑山市の南西部約25kmの位置にある錦渓鎮に行き、翌朝まで滞在しました。
蘇州装飾設計行業協会の会長である万浮塵さんが手がけた、古い民家をリノベーションしたホテルに宿泊しました。
万さんが自分の娘がカーテンを開ける様子をみて思いついたというファサード(正面)。瓦のような伝統的な建築材料を用いながらも、縄のれんを押し開いたような柔らかい動きを表現するのは現代的だ。翌朝に見る、日中の表情とは対照的。(後述)
入口の奥にはフロント、ロビーがある。ロビーから右に折れて、いったん外に出て、いくつかの客室のある別棟に移動する。
さすが中国。喫茶の風習が広まったのは古く、紀元前一世紀にはその記録があるという。当たり前ですが、お茶を楽しむという習慣は、中国では日本以上かもしれません。
朝食は、お粥と饅頭、ゆで卵、牛乳
ところどころ、通りから運河に出られる階段がある
前日にお茶をふるまっていただいた茶館
江南の歴史文化が残る町並みを活かし「中国民間博物館の郷」として観光開発を推進している。五保湖の一角に運河が形成されており、明清代に建築された36の石橋が保存されていて、その風情を小舟でも遊覧できる。(Wikipedia「錦渓鎮」より)
1162年(紹興32年)、南宋孝宗の愛妃陳妃がこの地で病死し、妃が愛した五保湖で水葬され、湖に陳妃水家が造られたことに因んで「陳墓」と呼ばれていた。また、菩提のため孝宗は蓮池禅院を建立した。以来800年間陳墓と呼ばれたが、1993年美しい水郷を保存しようと旧名に復した。(同上)
王さんが、ホテルの内装で多用していた、竹ぼうきのような意匠は、古い街並みにもみられる。
水郷には、今でも水と密接に関わった、人々の生活が息づいている
錦渓では、2000年以上前からある水郷の風景と、江蘇省を代表するインテリアデザイナーで建築家でもある万浮塵さんが手がけられた古い民家をリノベーションしたホテルを短い時間で同時に体験できました。
中国は、古いものを壊して、新しいものを次々とつくっていく、猛スピードの開発のイメージしかありませんでした。確かに国土の大半ではそのような大規模開発が、昔からある風景を消し去っているのでしょう。
しかし、中国でも、特に古くからの歴史のある街区では、観光促進も狙って、街並みの保存がなされているようです。ここは日本人の観光客はあまり来ない穴場のようです。逆に、あまり商業化されていなくて味わい深かったように思います。
また、万さんのように、積極的に古い建物のリノベーションに取り組んでいる建築家がいることがわかったことは、ひとつの収穫でした。
おそらく中国全土に、このような動きは次第に伝わっていくでしょう。