東田川文化記念館からほど近くに、「古民家カフェ 藤の家」はあります。
現在は2005年に合併されて山形県鶴岡市の一部になりましたが、それ以前は東田川郡藤島町だった場所です。
After visiting “naa”, I went to “Cafe Fujinoya” which was established renovating 130-year-old farmer’s house in old Fujishima town now merged into Tsuruoka City, Yamagata Prefecture, Japan.
The name of “Cafe Fujinoya” may come from the name of old town. Fuji means wisteria in Japanese, and Fujinoya means “a house of wisteria”. The language of flowers of “Fuji=wisteria”is ” We welcome you”
The concept of “Cafe Fujinoya” is that “Japan meets West” and “mind of omotenashi(hospitality) ”
「藤の家」の名は、「藤島」に由来しているのでしょうか?
運営されている奥様のお話では、庄屋でもない、代々普通の農家の住まいだったということですが、神棚にしても庭にしても門にしても、とても立派です。ちょっと驚きですね。庄内は、狭い盆地の内陸・山形市のある村山地方と違って、広大な平野がある昔からの米どころで、江戸時代から豊かだったということでしょうか。庄内地方は、北前船で、大阪、京都とも文化交流もあって、商業も盛んでした。その影響で、上方の雅な文化が数百年前から入ってきていたので、人々の芸術などに対する意識も高いように感じられます。
「藤の花言葉は「あなたを歓迎します」私たちは藤島地域のもてなしのこころです。藤の里 「藤島」」
これが店の名の由来ですね。昼食を食べた後に行ったので、コーヒーのみでしたが、おいしかったし、雰囲気も十分に楽しめました。次は昼か夜に、食事に伺いたいと思います。
「古きものに命を吹き込み、和と洋が出会い、古民家カフェが誕生しました。四季を感じながらごゆっくりお過ごしください。」
この言葉で、この店のコンセプトがよくわかったような気がしました。
前回見た「菜ぁ」は、高い天井をうまくいかし、あまり手をかけすぎないで、空間の素の形、縦に抜けた豊かなボリュームでもてなすといった感じでした。古民家本来のよさを活かした空間活用といえるでしょう。
一方、「藤の家」は同じ古民家の再生でも、少し手法が違います。
一番最初に見た、玄関から右奥の部屋に関しては、架構や造作も含め、いかにも古民家という空間でしたが、それ以外は、古民家とそこに住まう家族が百年いや数百年にわたって大切にしてきた、「建築」だけでない文化的な環境そのものを活用しながら、現代的な要素も取り込んでいかに活性化させるかに主眼がおかれているように思います。
建物の周囲に古くからあった庭を取り込んで、日本建築の一つの特徴でもある、内と外が視覚的に連続した、自然と対話する空間づくりがなされていました。(比較的水平性を指向)
創建当初の古民家に戻すのではなく、あえて「和と洋が出会う」というコンセプトで、内装にも手をかけ、同様の方針で、家具や調度品も意識的に選ばれたのではないかと思います。
純粋な古民家とも、洋館とも違う、ちょっとユニークな世界がそこにありましたが、にぎやかすぎず、押しつけがましくもなく、ちょうど良い居心地の良さをもっていました。
驚くような圧倒的な空間はありませんでしたが、こじんまりとして、包まれた感じの人間的スケールをもちながら、一方で庭への視線の抜けもあり息苦しさも感じさせない、バランスの良さがあったように思います。
きっと、この地域の人々の文化的遺伝子のレベルの高さと、「藤の花」の花言葉のようなカフェでありたいというオーナーの思いが、このような、やさしくセンスのある空間を生み出したのではないでしょうか。
古民家を再生するといっても、いろいろな方法があるのですね。
その古民家のもっている、潜在的な力を読み取り、引き出してあげることが重要なのでしょう。
これからも探っていこうと思います。