これまで、アメリカ合衆国テキサス州フォートワース市の文化地区にある美術館、キンベル美術館(カーン館、ピアノ館)、フォートワース美術館の3つの美術館を見てきました。最後はAmon Carter Museum of American Artです。現地の人は「エイモン・カーター」と発音していました。
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上のグーグルアースの画像で、一番左にある直角三角形の建物がAmon Carter Museum of American Artです。一つ公園のような街区を挟んで、順に、キンベル美術館ピアノ館、カーン館、フォートワース美術館です。

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Amon G.Carter(1879-1955)はフォートワースを中心に西部テキサスで活躍した、新聞社、TV局、石油、航空会社などを所有したこの地域の偉大な経済人で、フォートワースの経済発展、地域活性化に大きな貢献のあった人物です。この美術館は彼の遺志を継いだ娘のRuth Carterによって1961年に設立されました。Amonさんは設立資金を残しただけでなく、生前から美術の収集に熱心だったようです。1958年から、建築家Philip Johnsonが美術館建設に参画し、彼が設計することになりました。

写真に見えるこのベージュ色の建物は、展示室のある直角三角形の棟とは、構成上切り離されています。

今回、改装中なのか、この棟から入場することはできませんでした。平面図が手元になくわからないのですが、本来はこちらがメインエントランスなのでしょうか?

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直角三角形の棟の南側にある入り口からアプローチすると、このような吹き抜けのホールに至ります。
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ホールの内装壁全体にテキサス産の貝の化石入りの石灰岩が贅沢に使われている。もちろん本物の化石である。2つ上の写真のベージュ色の建物の外壁にも使われている。今ではこのような石を建築の材料としてふんだんに使うことはできないのではないだろうか?
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エントランス・ホールを2階レベルから見る。
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この建物については、このエントランスホールと、後でのせる階段室ぐらいしか、際立った特徴はなく、極めてオーソドックスな四角い展示室の連なった美術館のようでした。建物の特徴である、直角三角形も、内部ではあまり感じられなかったように思うのですが、とにかく駆け足で見て回ったので、私が見損ねているかもしれません。
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展示室兼ラウンジ
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天井は黒、展示壁は白ではなく、薄いグリーンに塗られている。
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19世紀から20世紀半ばまでの、近現代美術が展示の中心です。
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こちらの展示室を右手に進むと
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トップライトから自然光が降り注ぐ階段室がある。
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トップライト下には鉄骨のプレートによって正方形単位の格子が組まれており、そのマス目ごとに一個、ダウンライトが仕込まれている。
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階段室側から展示室を見たところ

広さ的にもどうということはない、ただ上下の展示室を移動するためだけの階段室なのだが、壁の素材や採光や照明のディテールをつくりこむことで(それほど凝ったものではないが)、特別な空間と感じさせることに成功しているように思われました。