10月24日土曜日は午前中から十和田市中心市街地にいきました。

十和田市は、東北の市町村の中でもまちづくりに力を入れているという印象で、最近いくつかの話題作が生まれています。

まず、2008年に竣工して一度見たいと思っていた、西沢立衛さんの設計した十和田市現代美術館から。

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屋外イベントスペース(メインエントランス)まわり

 

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エントランスホール(床は、ジム・ランビーの「ゾポップ」というアート)

 

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通しに面して、椿昇の「アッタ」という彫刻

 

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スー・ドーホーの「コーズ・アンド・エフェクト」 展示室内部からだけではなく、ショー・ウィンドーのように通りからも鑑賞できる。塀も垣根もない。

 

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美術館の対面の公園には、草間彌生の作品が。

 

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その隣にはエルヴィン・ヴルムの「ファット・ハウス」「ファット・カー」

 

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その並びに、インゲス・イデーの「ゴースト」「アンノウン・マス」 両方ともお化けという設定。建物はトイレで「アンノウン・マス」はトイレを覗いている銀色の方。

 

桜や松が片側一列ずつ、計4列植えられた大通りで、馬産で栄えた町ということで馬の彫刻が多くありました。

その通り自体、この規模の地方都市にしては大変立派なものだと思います。(新渡戸稲造の祖父から長兄までの三代が、十和田市の発展の礎をつくったそうだが、そのこととも関係あるのかもしれない。)

しかし、建物の統廃合や移転で、空き地ができて歯抜け状態になっており、そのような都市景観上の問題の解消と、人々の活動を活発化させるために、現代美術を導入することが検討されたそうです。

その中で、空き地に現代美術の彫刻が置かれていくことになったのですが、比較的大きな空き地を現代美術館にしようということで、プロポーザルが行われ、西沢さんの案が当選しました。

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休憩スペース(カフェ) 床にマイケル・リンの「無題」
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上と同じ空間を反対側から見たところ。

庭や塀をつくって近くの夾雑物を取り払うような配慮をしているわけではなく、今までの街の風景をきりとっただけなのだが、市民のための大きなリビングとして、内からも外からもその空間自体がアートのようになっている。

(展示空間内部は撮影禁止でした。)

 

「都市空間」「建築空間」さらにはアートがつくっていく「美術空間」がどれだけ混ざり合うかがテーマだったと西沢さんは言われていますが、その試みは成功していると思いました。

雪の多い北国で、分棟型を採用し、街に開いていくということは、除雪の問題や熱効率の問題で難しさをはらんでおり、この案を実現するためには、建築家も行政側も勇気が必要だったと思います。しかし、こうしてできた美術館が7年たっても人々でにぎわっているところを見ると、いままでの、何かの理由でできないという常識判断は、優先順位をつけなおして見直す必要があると思いました。

私の住む山形市には、このように大胆に街に開かれた建築はありません。(もちろん、多くの地方の中心市街地にはないでしょう。)そして、このような立派な並木道も。

正直、羨ましく思いました。

城下町だった山形と、150年前から本格的に開拓された十和田では町の成り立ちが違いますし、ないものねだりをしても仕方ありませんが、東北の地方都市でも「意識を変えて」取り組めばできないことはないという意味で、勇気をもらえる試みだと思います。