vectorfield architects(ベクターフィールド・アーキテクツ)

images

「空間芸術研究所」という名称には、「Architecture」の訳語である「建築」の本来の意味を忘れないようにという意思を託しました。

しかし「空間芸術研究所」を英語にそのまま訳そうとしたとき、言語の問題や文化的背景の違いで、そこに込めたかった思いが、何も伝わらなくなってしまうということに気づきました。

そこで直訳ではなく、それとは違う形で、新しい時代の建築を拓く志を表現した英語名称にしようと思いました。

「vector field」 とは、もともと数学や物理学の用語であり、幾何学空間における、ベクトル(方向、向きと量が合わさった、矢印のような概念)の分布を表す概念です。図のような小さな矢印の集合体がそのわかりやすいイメージです。

「建築」には、「目に見える要素」と「目に見えない要素」があります。

「目に見える要素」は、素材(建築材料)に置き換えられる部分です。

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

「目に見えない要素」は、動線(人の動きを表したベクトル)、気流や、固体の中での力(応力)や、熱の伝わり方などです。この「目に見えない要素」の多くはベクトルの集合体(≒vector field)として表現されます。

そして、今日において、この、建築の「目に見えない要素」を考えることはますます重要になってきています。

それは例えば、住宅において室内外の微気候(風や熱の流れ)が、都市において無数の人々の軌跡といったものが、より注目されるようになってきているということです。

そういいながら「目に見える要素」もvector field と無縁ではありません。「目に見える要素」は人間に知覚されるには「光」を媒介しますが、「光」は「粒子性」だけでなく、ベクトル波(vector field上の波)としての「波動性」の二面性を持ちあわせているからです。

「建築(Architecture)」は、究極的には「vector field」の「art」であり「science」であるといえるでしょう。

「空間芸術」としての「Architecture」を超えた何かをという思いをこめて、「vectorfield」 という造語をつくり、「vectorfield architects」という英語名称をつけました。

「空間芸術研究所」と「vectorfield architects」はたがいに、補完的な関係にあるといってもいいかもしれません。

その発想の源には、まだ建築を志す前に読んだ、私と同姓の高名な数学者のエッセイがあります。

OLYMPUS DIGITAL CAMERA