メトロポリタン美術館は一旦お休みして、一昨日(11月22日)行った、和歌山市の旧中筋家住宅を紹介します。

大庄屋の住宅で、熊野古道に面しています。主屋は今から約160年前の建物です。門を含めると敷地内に全部で九つの建物があります。

国の重要文化財で、平成12年~22年まで10年の歳月と約九億円の費用をかけて、保存・修復工事が行われました。

ここに詰めておられた和歌山市の担当の方のお話だと、それまでは廃屋同然の状態で、とても見学できるような状態ではなかったとのこと。

このような文化的に価値のある建築を残すことができて本当によかったと思います。写真ではわかりにくいですが、内部空間も、建物同士の間にある空間も、庭も素晴らしいものでした。

私の住む山形県にも、民家や蔵が多くありましたがそれらは次々と姿を消していっています。まだ、かろうじて残っている古い建物もありますが、活用・保存しようとする動きが少ないので、このままでは消えゆく運命です。

このような文化財級のものは国から予算がついて保存することができましたが、そうでない古い建物も、生き残れるような道がないか、知恵を絞って考えていきたいものです。

歴史的背景や、建物の詳しい説明、修復のプロセスは、HPによくまとまっているので譲ります。

旧中筋家住宅(和歌山市HP)

上のリンクに飛ぶと、写真は出てくるのですが、以下に私の撮ってきた写真を載せておきます。

旧中筋家 ストリートビュー

今はストリートビューで、建物の中まで全方位見れるんですね。すごい!

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表門(長屋門)
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表門前より熊野古道を見る
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表門の内部 戸籍管理の帳簿作成など大庄屋の役所として使われていた
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表門は、上の写真、手前から、シモノマ、ナカノマ、カミノマよりなっている
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建物正面 左入り口が、土間に通じており、右に曲がると小玄関がある。正面右の大きな入口が大玄関
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土間の竈の上に設けられた煙抜き
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入母屋破風の大玄関屋根
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竈のある土間
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土間 左手に台所 突き当りが女中部屋
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土間への採光と換気を確保する格子窓
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井戸屋形
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大玄関 右手より入る 藩からの来客などVIPの出入りに使われた
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外から大玄関を見る
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襖の模様
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大玄関から表門方向を見る
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平面図
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模型 (真ん中の白い丸はプラスチックのカバーに照明が映りこんでいます。)
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表座敷より木地の間を見る
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表座敷より、表門との間の庭を見る
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木地の間
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木地の間から大広間に通じる廊下
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厠 (超広角で撮ったため下の方がかなり歪んでいます。)
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大広間 右手に縁側、庭
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大広間より庭を見る
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縁側 柱に自然な形の木を使うことで風情を出している。内部から見ると、より手前から庭が始まっているように見え、広さを感じさせる効果がある。
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庭より大広間を見る  基本的に通路なしで部屋同士がつながっている  襖を開けると奥行き感がでる。
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大広間の違い棚と床の間
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庭より主屋を見る 写真には写っていないがこの右手に茶室がある
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茶室内部
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中央に3階部分がある(非公開) 2階は書庫で3階は周囲を見渡せる望楼のようになっている
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主屋と内蔵の間の空間
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上の写真の井戸屋形の壁沿いにある手水鉢のようなもの 底には葉っぱのような模様 具体的には何に使ったものか?

OLYMPUS DIGITAL CAMERA敷地東側を通る熊野古道

全ての部屋に、障子などを通して光が入ってきて、風通しもよく、内と外が連続した日本家屋特有の開放感のある建築で、現代でも学ぶべきところが十分ありました。

木や紙、石の素材感を生かしながら、壁紙の紺色の幾何学模様が、控えめなアクセントになっていました。

こんな家で暮らせることが、本当の豊かさなんだろうと思います。