諏訪神社のあとで、徒歩5分ほどのところにある、山形市十日町にある歌懸稲荷神社で初詣をハシゴしました。(笑)「ハシゴは御法度」という意見と、「何社回ってもいい、むしろなおよい」という意見、両方あるようですが、ネット上では後者の方が優勢みたいです。

小学校5、6年生の頃に、担任の酒井順一先生が土曜日に「山形探検」という課外活動のような授業をしてくださって、その一環で訪れた覚えがあります。そのころから37年の歳月が流れました。この辺一帯の様子もだいぶ変わりましたが、境内の雰囲気は昔とあまり変わっていないように感じました。

After visiting Suwa Shrine, I went to “Utakake Inari Shrine”, about 5 minute walk from “Suwa”. It is located in Tokamachi in Yamagata City. Market was taken place on 10th of every month which is fete day of this shrine in front of this shrine during Edo era.  “Toka” means ten days, and “machi” means town in Japanese. So the district around here has been called “Tokamachi”. This shrine is the origin of the name of the town.

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駅前の大通りからすぐ見える鳥居をくぐって本殿(写真左)にアプローチします。
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歌懸稲荷神社の由来

この神社は、山形城を築いた南北朝時代の武将、斯波兼頼(しばかねより)によって、建立されました。斯波兼頼の子孫(十二代目)が、戦国時代の武将、最上義光(もがみよしあき)です。

最上義光の妹、義姫は伊達輝宗に嫁ぎ、政宗を産みましたので、最上義光は伊達政宗の伯父にあたります。関ヶ原の戦いのときは、最上義光は東軍に加担。会津を拠点とする西軍上杉家の名将・直江兼次の知略により、次々と支城を攻略され山形城は孤立しますが、伊達の援軍もあり、上杉百二十万石の攻めをしのぎ、戦後減封された上杉藩に代わり、五十七万石の大大名となりました。(慶長出羽合戦)実高は百万石ともいわれ、「最上百万石」とも謳われたそうです。

しかし、その後のお家騒動(最上騒動)により、孫の義俊は幕府により改易を命じられ、近江大森にわずか一万石の所領を与えられ、最上家はその存続だけは認められました。

その後旧最上領内には新たな藩がいくつも立藩されました。山形には譜代の鳥居氏が入部、その後、領主が頻繁に入れ替わり、大藩のような城下町文化は育たなかったものの、紅花、青苧、漆などの全国的な集散地として、また東日本一帯から集まった出羽三山参詣の拠点として栄えました。城下町と商業都市の両方の性格をもちあわせていたのが、江戸中期~後期の現在の山形市一帯の姿といえそうです。

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内鳥居と本殿

城主や城下の人々が、短冊に歌を書いて奉納する風習があり、歌を詠まないものは渡らせない橋が近くにあったことから、歌懸の名が起こったと伝えられています。

元和八年(1622年)、最上氏のお家騒動のあと入部した鳥居忠正は、人心一新を図り、部内稲荷口(現在の山形駅付近)にあったこの社を三の丸の外のこの地に移したのだそうです。

その後、ご縁日である十日毎に定期市が開かれたことが、この辺一帯の地名「十日町」の由来となっています。またその年最初の十日市(1月10日)を「初市」と呼び、その行事は現在まで受け継がれています。

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山形で毎年1月10日に開催される「初市」(山形市観光協会のWEBサイトより) “Hastu-ichi(first market of the year)” has been taken place on January 10th since Edo era until now in Tokamachi, the middle of Yamagata City.

初詣の賑わいは、諏訪神社ほどではありませんでしたが、「歌懸稲荷神社」はその由緒は諏訪神社よりも古く、「十日町」の起源となるなど、城下町山形の人々と深く結びついています。(現在の山形市民でそれを知る人がどれだけいるのかはわかりませんが。)

皆さん機会があれば、一度、1月10日に山形の「初市」にいって、その近くの「歌懸稲荷神社」にお参りしてみてください。その一年の幸運を引き寄せることができるかもしれませんよ。(笑)