隈研吾さんの設計した十和田市市民交流プラザは、官庁街通りに直行する奥州街道沿いに位置しています。2014年10月にオープンして、1年が経ちました。

OLYMPUS DIGITAL CAMERA
山と谷が不規則に連続する屋根。外壁は地元産のフシ有りスギ間伐材を、ランダムピッチで貼っている。
OLYMPUS DIGITAL CAMERA
内部にはこのサインに描かれた図形のような平面形状の「みちの広場」がある。プログラム上の「屋根付き屋外広場」を読み替えて、内部に「みちの広場」として取り込んだという。

OLYMPUS DIGITAL CAMERA
通り側に面した玄関。東、南、西の三か所の出入口から入り、「みちの広場」をとおって、通り抜けできるようになっている。

OLYMPUS DIGITAL CAMERA
天井は壁と同じスギ間伐材だが、構造の鉄骨や、吹き付け、天井下地の軽量鉄骨、設備など、すべて奥に見えるようなデザインです。ここはポーチ部分ですが内部も同じです。
OLYMPUS DIGITAL CAMERA
自動扉のエンジン部分がむき出しになっています。点検中だとおもったら、このように露出させるデザインのようでした。(他の出入り口も同じ)
OLYMPUS DIGITAL CAMERA
「みちの広場」 プリーツ状の壁は、建築養生メッシュをプリーツ加工したもの。(足元裏側からライトアップしている)

4つの既存施設(中央公民館、老人福祉センター、ふれあい会館、総合福祉センター)を統合し、その機能の間にできたすき間をただの廊下ではなく、通り抜けできる路地でありたまり場ともなりうる「みちの広場」としている。もともとプログラム上になかった内部空間(空調ゾーン)をつくる費用を捻出するには、さまざまな工夫が必要だっただろう。それが、かなり割り切った仕上げとして表れているのだろうか。

OLYMPUS DIGITAL CAMERA
展示室
OLYMPUS DIGITAL CAMERA
プレイルーム
OLYMPUS DIGITAL CAMERA
南側庇ディテール 構造の鉄骨を露出し、天井は貼っていない。
OLYMPUS DIGITAL CAMERA
西側外観

かなり思い切って、余計なものを省いたディテールで、これならコスト的にも余裕ができるし、おさまりも楽だろうと思う反面、この割り切りには結構勇気がいると思いました。

街に対しては確かに、新鮮なアクセントとなっているように思いますし、ふらっと入っていける気取りのない場所として、市民にはなじみやすいかもしれません。

建築というより、なにか、現代美術の作品のように思えました。建築と現代美術の境界はますますあいまいになりつつあるのでしょうか。

川俣正の作品や、フランク・O・ゲーリーの自邸などを想い起しました。

川俣正 画像

ゲーリー自邸