新築の建築物の設計のご依頼をいただいてから竣工までのおおまかな流れを以下に記します。参考にしていただければと思います。

(建築物の改修工事、インテリア、ランドスケープの設計の場合は一部異なる場合があります。ご相談くださればご説明いたします。)

①ご相談

はじめに、お電話や「窓口/inquiry」からご連絡いただき、設計依頼をお考えの方は直接お会いしてお話を伺いたいと思います。ご相談は無料です。

②重要事項説明

業務内容や実施体制、設計料について、契約に先立って重要事項説明をすることが義務付けられています。ご相談に来られたあと、設計を依頼してみたいとお考えの方には、日をあらためて重要事項説明を行い、それに前後してより詳しくご要望等を伺います。ご要望には、求められている建物の部屋の種類・数・面積、そこで行われる活動の内容、そこに参加する(住む)人々の属性(人数、年齢、性別等)、ご予算、スケジュールなどが含まれます。ご要望や敷地に関して提供いただける情報は、われわれが設計するにあたり重要なヒントとなります。重要事項説明は契約前に行うことになっており、②と③④は順番が前後する場合があります。

③ご要望の整理・現地調査

いただいたご要望を整理して、インフラや法的な条件について現地調査を行い、基本計画案の策定にとりかかります。計画予定地を実際に訪れ、周辺環境や地形を読み取り、歴史や気候風土を肌で感じ、敷地との対話を繰り返しながら構想を練ります。ドゥローイングや模型を使ったスタディを行い、その場所とご要望にもっとも適した建築の可能性を探り、案がまとまり次第、プレゼンテーションの準備にうつります。

④プレゼンテーション

十分に検討を行ったうえで、われわれがもっともよいと思う設計案を、図面、模型などでプレゼンテーションします。数日~数週間(ご本人が納得できるまで)お考えいただき、この案を気に入っていただけましたら、設計・監理契約をしたうえで基本設計にかかります。大方針さえ変わらなければ、細かいご要望への対応はここからでも十分可能です。もしお気に召さない場合は、ご要望をお聞きし、われわれが再提案を行うのが良いか、別の道を選ばれるのが良いか、お話し合いさせていただきます。(「一度、相談してみたいのですが…」もご参照ください。)

⑤設計・監理契約

基本設計に取り掛かる前に、設計・監理契約を交わします。国内の仕事では、施主指定の様式がない場合は、一般的によく用いられている「四会連合協定 建築設計・監理業務委託契約書類」の書式を使用します。これをもって、設計・監理の委託契約が正式に結ばれたこととなり、以後、疑義が生じた場合などには、この契約書に基づいて解決するものとします。

⑥基本設計

ご了承いただいた提案をベースにして、ご意見を伺ったうえで、設計を発展させていきます。デザインはもとより、構造や設備に関わることも基本的な方針はここで決定されます。基本設計がまとまった段階で、ご予算に合わせるために基本概算をとることもあります。基本設計では建物の形や仕様がほとんど決定されますので、ここまでで大きなご要望はできるだけ出し切っていただく必要があります。一般に設計は段階が進めば進むほど変更が難しくなります。

⑦実施設計

実施設計は、基本設計案にもとづいて、それがどの建設会社に渡しても、同じように工事が行われ、竣工できる程度まで、詳細にわたり技術的な検討をし、寸法や仕様を細かく定める段階です。基本設計まででまとめられた内容を、一意的に発注できるように、必要十分な詳細図を作成します。この段階でも、基本設計以降で検討が足りなかったことや、施主から出された意見に基づいて、より品質が高く、より経済的な建物ができるよう検討のうえ作図を行います。

⑧建築確認申請

日本国内で建てられる建築物は、建築基準法、都市計画法などの関連法規に合致している必要があります。もちろん、基本設計の段階から法律に適合するように十分に考えて設計を行うわけですが、着工前に、自治体の「建築主事」か民間の「指定確認検査機関」に、設計された建築物の適法性をチェックしてもらうことが必要で、それを「建築確認」といいます。そもそも建築関連法を熟知した有資格者の建築士のみに建築の設計は許されているので、この手続きは「許可」ではなく「確認」といわれます。一般的に「確認申請」といわれているものです。着工前にはこの手続きが必要になってきます。規模や設計の難易度にもよりますが、通常1か月前後の審査期間を要します。設計・監理業務には、通常、この確認申請業務が含まれています。(審査機関への申請手数料、竣工検査費用は別途となります)

⑨施工者選定(見積依頼)

実施設計図書に基づいて、建設会社数社から見積をとって、もっとも安く、信頼のできる会社を選定します。結果を施主に報告したうえで施工者を最終決定します。手持ちの業務量や、得意分野によって、建設会社の提出する見積金額にはかなりの開きが出る場合があります。このように、適正な競争をおこなって、よりリーズナブルな建設手段を選択できることも、設計施工一括発注ではなく、設計事務所に依頼するメリットかと思われます。

⑩工事請負契約

そのようにして決定された、建設会社と工事請負契約を交わしていただきます。これは施主と施工者の間でなされる契約で、設計・監理者は立会する形になります。

⑪着工

確認申請がおり、工事請負契約がなされれば、日取りを決めて工事着工となります。通常、着工に先立って、起工式(神道式の場合は地鎮祭といわれますが、施主のご要望に合わせて宗教は選択できます)が行われます。

⑫工事監理

実施設計が完了すれば、われわれの仕事が終わる訳ではありません。それどころか、工事中の施工会社とのやり取りがよりよい建物をつくるためには一番重要ともいえます。これを「監理」といいます。施工会社の行う自主「管理」と異なり、第三者的な立場で、設計者(監理者)が、実施設計図通りに工事が行われているかを検査・確認していく業務です。そして、ただ単に設計図通りにできていることを確認するだけではなく、現場に入ってからも如何に建物をレベルアップできるか、施工者とともにあくなき追及を続けるのも監理者の役割だとわれわれは考えています。現場が始まれば、施工者はより安全により合理的に工事が進められるよう実際の工程を考えますが、そのことで品質が損なわれることなく、現場の知恵を引き出しながら、むしろより品質の高い建築ができるように、検討・協議していきます。日本の現場では工事が始まってから数多くの「施工図」が描かれます。これは、実施設計でも行うことが難しい、専門協力会社やメーカーの最新の技術・知見に基づいた検討を行って、施工者の立場で描かれた精細な図面です。「監理」では、この施工図全てに目を通し、監理者としての要望・指示を出し、十分なやり取りののち、監理者の承認を受けてはじめて、「施工」がなされます。この自立した設計者による第三者的な「監理」というプロセスがあることが、建築のクオリティを一層高める秘訣でもあります。

⑬竣工検査

竣工前の検査は、数種類あります。建設会社による自主検査、建築確認を下した建築主事等によってなされる完了検査、設計・監理者による(設計)事務所検査、そして最後に、建築主による施主検査です。「完了検査」は着工前の「建築確認」と対をなすもので、工事された建物の適法性を竣工前にチェックするものです。それぞれの段階で、指摘を受けた項目に対する是正を行いながら、次に進んでいきます。

⑭竣工・引き渡し

竣工検査が終わり、指摘事項の是正がなされれば、いよいよ引き渡しとなります。引き渡しは、目に見えるところでは建物の鍵や竣工調書(保証書、検査済証、取扱説明書、各工事担当会社の緊急連絡先等を取りまとめたもの)を施工者から施主にお渡しする儀式ですが、これをもって、建物の所有権が建設会社から建築主に移るという重要なプロセスでもあります。引き渡しがおわれば、入居・利用開始となり、設計・監理者としての仕事も一応、一段落となります。

⑮メンテナンス相談・定期検査

建物は竣工時が産声を上げたときで、そこから丁寧に育てていくことが大切です。できてしまえば何もしなくていいというのではなく、自動車などと同じように、一般にメンテナンスをこまめにすればするほど、寿命は延びるし快適性も維持されます。何か具体的な問題が発生した時はもとより、日常の使用の中で気になることがありましたら、ご連絡ください。状況を確認の上、経験に基づいて助言させていただきます。年数を経過しての改修や増築に関しては、ご相談内容に応じて、別途契約の上対応させていただきます。

通常、一年後に建設会社による定期検査が行われ、設計者として立ち会います。それまでに発生した瑕疵(不具合、傷)で、常識的な使用の中でできたものは、原則として、施工者の責任で補修されます。(消耗品等は除く) 一年検査のあとでも、定期検査が事前の取り決めで行われる場合もありますが、これ以降は施工者とメンテナンス契約を結んでいただいた場合を除いては、有償での修理となります。隠れたる瑕疵(目に見えない部分の傷)、保証年限に満たない時期での劣化についてはこの限りではありません。

HUMAN NATURE ART 

建物の誕生に関わったものの一人として、建物を竣工後も責任もって見守っていきます。